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■「バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー」
監督:フィリップ・ラショー
出演:フィリップ・ラショー、ジュリアン・アルッティ
2021年製作/83分/フランス・ベルギー合作
配給:アルバトロス・フィルム
【フィリップ・ラショーにとっての映画とは何だろう?】
「バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー」を観たら、フィリップ・ラショー監督に益々興味が湧きました。
自分が脚本を書いて監督して、主演もするコメディー俳優。こんな立ち位置の人、私が知らないだけで日本にも居るのかな?
劇団には居そうだな、なんて思うのですが映画監督としてはフィリップ・ラショーのような日本人を知りません。
前作の「シティハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」を観た時にも感じたことですが、フィリップ・ラショーにとって映画とは何だろう?という謎が益々深まりました。
私とは全く違う”映画感”を持っているフィリップ・ラショー。彼がどうやって映画を作っていくのか、それが想像ができなくて面白い。
やっぱり「分からない」と思うと「知りたい」に変わって興味が湧いてくるんですね。
フィリップ・ラショーは私が思う「映画」とは全く違うベクトルで「映画」を作ろうとしているように感じます。
■ストーリー
父の反対を押し切って夢を追い続ける売れない役者のセドリック(フィリップ・ラショー)は、晴れて新作映画『バッドマン』の主役に抜てきされる。
憧れのヒーロー映画主演のチャンスを逃すまいと、彼は体を鍛え、武術をマスターして撮影に臨む。
しかし、初日の撮影終了間際に父が倒れたという連絡が入り、動揺したセドリックは衣装の「バッドスーツ」を着たまま「バッドモービル」に乗り、病院へ向かう途中で事故に遭ってしまう。
やがて意識を取り戻したとき、彼は自分の名前や過去の記憶を失っていた。
私が好んで観る映画が偏っているせいかも知れませんが、映画館内で笑いが起こる作品を久々に観ました。
そんな雰囲気に安心してか、もちろん私も笑っちゃいましたよ。だって面白いんだもん 笑
素直に笑える作品なので、気心知れた友だちと一緒に観たり、デートで観ても楽しめる作品だと思います。
でも下ネタもあるし、、、緊張感あふれる「初デート」にはお薦めしない作品かな(^-^;
あとはMCUとかDCファンの方は必見なんだと思います!
このジャンルに疎い私も、ちょこちょこ「パロディーだ!」と分かって面白いシーンがあったので、ファンの人はもっともっと楽しめるはず。
いやー、何度思い返しても不思議な映画です。
正しくは”私にとっては”不思議な映画ですね。
映画自体は全然不思議なストーリーではないですよ。
むしろコメディジャンルの中では王道なのかもしれません。
とにかく私は新鮮な映画体験が出来たので、普段はコメディ映画を観ない人にもおススメします!
以下内容に触れるのでご注意を
映画監督がインタビューを受ける際、良く聞かれる質問TOP3には入るだろうと思うのが「影響された映画監督と具体的な作品名を教えてください」だと思います。
フィリップ・ラショー監督もこの質問に答えていました。
監督は「奇人たちの晩餐会」を監督したフランシス・ヴェベールのコメディを観て育ったこと、
アメリカ映画ではファレリー兄弟の「ジム・キャリーはMr.タマ―」や「メリーに首ったけ」のような作品に大笑いしたこと。それに「グーニーズ」「ロマンシング・ストーン/秘宝の谷」もちろん「インディ・ジョーンズ」といった冒険コメディのファンでもある、と語っています。
なるほど。
フィリップ・ラショー監督が観て育ったという映画作品を、私は全く観てきませんでした。
それもフィリップ・ラショー監督の作風や関心のある部分が興味深かったり、新鮮に感じる要因なのかもしれません。
ベースになっている部分の違い、言うのでしょうか。
でも今挙げられた作品はどれも面白そうで(「メリーに首ったけ」は観たはずなのに記憶がなく、「インディ・ジョーンズ」を冒険コメディだと思っていませんでした)観たい作品、ジャンルがまた増えました 笑
これらの作品を観てみれば、フィリップ・ラショー監督の事が少しは分かるかも、なんて思ったりもします。
それにしても”笑い”って本当に奥深いですよね。
だからコメディ映画も実はかなり複雑な構造をしているし、繊細なカット割りや画角で撮影され、編集も相当繊細に行われているのではないかな、と感じます。
もちろんコメディジャンルではない作品も同じように複雑です。
でも目指すところが「笑い」になると、物語全ての構造や技術のベクトルが私の知っている物とは異なる方向を向いているように感じて、そこも面白いのです。
今回の「バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー」もジュリアン・アルッティ演じる彼が治験バイトで変な薬を飲んで幻想が見えているのも、お母さんと親友が出来ちゃった、というくだりも全部が全部笑いにつながっていますが、良く考えると何なんでしょう、あの設定、、、 笑
劇中これでもかと詰め込まれるパロディと笑いの要素ですが、やっぱり笑い自体にも(もしかしたら笑にこそ)その国の色が現れるのだな、と感じました。
例えば子供に対する容赦のなさ、
神父さんがこっそりネットで買った商品の正体、
移民が国へ送還されたニュース
といったトピックを入れ込んだら、日本国内では炎上するんじゃないかな?と心配になってしまいます。
フランスではどう受け止められたのでしょう?
何となく日本では下ネタやブラックジョークはサブカルチャーな領域にあるものだと感じます。うっかりメインストリームに出てしまうと叩かれる。サービス旺盛な性格が仇となる例は沢山見かけます。
それにしてもフィリップ・ラショー監督の作品を観て、私はこんなことをつらつら考えてしまいましたが「バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー」のレビューとしては面白くないですね。
この映画はもっとシンプルに「あのシーンはこのキャラのパロディだ」「このカットは本家だとこうなっている」「じつはこのセリフはあの映画のパクリだ」など言い合って楽しむ作品だと思います!
えーっと、、、このレビューには細かなパロデイや元ネタが無くてすいません。
でも次回作もきっと観るんだろうな、と思うフィリップ・ラショー監督でした。不思議、不思議と思いながらも面白かったな~。食わず嫌いせずに、どんどん新しいジャンルの映画も開拓していきたいです。