Road to IOWN 2021

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本日は、NTTの研究企画部門長の川添常務による「Road to IOWN 2021」と題する講演をお伝えします。IOWNはNTTが開発しているオールフォトニックスネットワーク(APN:すべての情報処理・情報伝達を光を用いて行う技術。)で、「Self as We」(我々としての私 )を合言葉にしています。(group.ntt/jp/nsl を参照) 

 私たちは自らの「環世界」で物事を見ています。環世界(=Umwelt:ウンベルト)とは、ドイツの生物学者であり哲学者であるユクスキュルトさん(1864~1944)が唱えた考え方で、すべての生物は自分自身が持つ知覚によってのみ世界を理解してるので、すべての生物にとって世界は客観的なものではなく、生物それぞれが主体的に構築する独自の世界であるというものです。私たち人間もその制約を免れません。

 今日私たち人間が作り出してきた技術は、環境問題をはじめ大きな曲がり角に来ています。C&C技術も膨大な電力消費による温暖化の遠因になっています。人間中心主義の変更が求められ、問われてるのは環境問題や生物の多様性に配慮した「環世界の拡大・連結」なのです。IOWNはエレクトロニクスの代わりに光電融合技術を用いることで、地球温暖化防止に寄与することができます。

 IOWNプロジェクトも3年目を迎え、目に見える成果を上げています。パソコンユーザーにも馴染み深いネット通信を例に挙げると、IOWNアダプター(APNユーザー向け装置)は、非圧縮あるいは低圧縮のHDMI/Display Port 映像信号とUSB信号を100Gbps 超の光信号に直接乗せてAPNに送信することで、オーバーヘッドレスで1000kmといった長距離伝送ができます。

 NTTのもともとの計画では2030年に商用サービスを開始する予定でしたが、IOWN Global Forum に日本政府がSponser Memberとして参加することで、2024年にデバイスを完成、2025年にシステム(装置)の開発の完了、2026年にIOWNの商用サービス開始と前倒しでプロジェクトを進めることになりました。NTTの活躍に期待したいですね。


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