光美容と量子力学ー人間版光合成ー

|

光美容についての質問がありましたので、お答えしていきます。

おそらくこれまでのコンテンツで一番むずかしくなってしまったと思います。

Q.熱とシミについてのコンテンツを拝見したのですが、LEDマスクとかヒーライトが肌や育毛にも効果があると聞いたのですが、それは光の波長の関係なのでしょうか?
色によって効果が違うとか不思議だなぁと思って。
効果があるなら使ってみたいなーと思うのですが、パソコンやスマホのブルーライトカットが大事!と言っている人がLEDマスクやヒーライトを勧めていると、???と思ってしまって…

光美容はガッツリ量子力学の話になってしまうので、僕も完全に理解できてませんが、科学的に検証されているものなので、効果があるのは間違いないと思います。


世界一雑な量子力学講座


物理、化学の基礎知識をざっくり解説すると

人間の体は水を除くとほとんどはタンパク質です。

でタンパク質はアミノ酸が重合した巨大な分子です。

分子は原子同士が複数結合したものです。

原子は原子核と電子から構成されていて、原子核を中心にしてその周りの軌道上を電子が回っているイメージです。

原子同士が電子を共有することで化学結合を作っています。

化学結合で共有されている電子にも軌道があって、安定な軌道と不安定な軌道があります。

安定な軌道の方がエネルギー準位が低く、不安定な軌道はエネルギーが高いです。

電子は電磁波である光子からエネルギーを受け取ります。

電子は通常安定な軌道に入ってるのですが、
光子からエネルギーを受け取ると、電子は励起(遷移)して不安定な軌道に移ります。

水が高所から低所に流れるのと同じで、電子もエネルギーの低い軌道に戻ろうとします。

なので、次に電子は高エネルギー順位から低エネルギー準位に遷移します。

このとき、エネルギーが放出されます。

このエネルギーは分子運動(熱)や光(エネルギーを持った光子)に変換されます。

励起に必要なエネルギーは結合によって異なる

光によって遷移が起こるにはその遷移に必要なエネルギーとぴったり同じエネルギーを持った光子が電子に作用する必要があります。

光子の持つエネルギー(=波長)によって活性化される結合の種類が変わるので、波長によって作用する分子(タンパク質)や作用の仕方が変化します。

こういうわけで、光の波長によって影響が変わるわけです。

前回のコンテンツに出てきた例だと

赤外線と紫外線の違い

赤外線のような短い波長の光だと分子運動を活性化させるので、赤外線を受けた分子は発熱します。

紫外線やX線のように波長の短い光だとエネルギーが高すぎて、電子を不安定な軌道のさらに外まで飛ばしてしまいます。

つまり、化学結合が切れます。

これが紫外線やX線が生体分子を損傷させて、老化や病気につながるメカニズムです。

普通の太陽光は様々な波長の光が混ざった光なので、美容効果だけを狙うことはできません。

光美容で使う光は必ず単一の波長を持った光でないといけません。

余談:地球上で最も繁栄している生物

この電子励起の原理をうまく利用して光合成を行っているのが植物です。

ちなみに、植物も太陽光のうち特定の波長の光しか使っていません。

緑色の波長の光は使わず、反射しているので葉っぱは緑色に見えます。

残念ながら動物はここまで効率の良い利用方法を持っていません。

植物は地面に根を張って動きませんが、それは動く必要がないからです。

動物は光合成ができないので、動き回って栄養分を摂取する必要があります。

一方、植物は土と水と光と空気があれば、大抵の環境で生きていけます。

光美容も人間版光合成だと考えれば、わかりやすいかもしれません。
コメント1

お気に入りに追加しました お気に入りから削除しました