ジェンダーに橋をかける本を読む 第11回 『存在しない女たち』(キャロライン=クレアド・ペレス)

「話をさえぎられて、最後まで聞いてもらえなかった…」

と残念に思ったことは、ありますか?

私はあまり話す方ではないので、そんなにたくさんはないですが、いくつか記憶に残っているものはあります。それだけ覚えているということは印象に残ったんでしょうね。

周りを観察したり、人の話を聞いていても、遮られることは割とあるのかなと思います。

今回の読書会で読む本『存在しない女たち』にはこんなことが書いてあります。

「男性は女性よりも相手の話をさえぎることが多く、男性の話をさえぎるよりも、女性の話をさえぎることが多い」

こういうジェンダーによる違いは山のようにあります。

この本には事例がものすごくたくさん出てきますが、たとえば…

男性が痛みを訴えた場合は鎮痛剤を処方されることが多い一方で、女性が痛みを訴えた場合は鎮静剤や抗うつ剤が多いというデータがあり、実際にはうつ病ではない場合でも、女性たちに抗うつ剤が処方されていること。

女性の平均的な手の幅は約17~20cmで、標準的なピアノの鍵盤を使うのは男性よりもなかなか大変で、ピアニストになるには不利なこと。(それで小さい鍵盤のピアノを作った人の話も出てきます)

こんなジェンダーによる差異の事例が『存在しない女たち』には数多く出てきます。

私がジェンダーの本を最初に読んだのは『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』(遥洋子)ですが、その時から、私たちはこんなにもジェンダーという当たり前の枠にとらわれて生きているんだなあと、いろんな枠を見えるようにしてきました。

どんな話し方をするか。
どんな服を着るか。
どんな表情をするか。

自分でしているように見えて、枠にはめられていることはものすごく多い。

それを1つずつ知っていくことは、私たちの「当たり前」の枠を見えるようにして、自由になっていく手助けをしてくれます。

この本の良いところは、そういう枠があるのはダメだというような主張なしに、淡々と事実のデータをこれでもかと列挙していることです笑

自分がとらわれている枠を知って、自由になってみませんか?

※『存在しない女たち』(キャロライン=クリアド・ペレス)は読んでなくても大丈夫です。
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