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さて、突然ですがクイズです。
次のうち、ヒトが摂取することにより、「死亡する」あるいは「健康を害する」可能性があるのはどれでしょう?
- シアン化カリウム(青酸カリ)
- アスパルテーム(人工甘味料)
- カフェイン
- 食塩
- ビタミンC
- ポリフェノール
どうでしょうか?
ちなみに、僕はこのクイズをちょくちょく知り合いに出してみるんですが、未だに正解した人はいません。
なので、このクイズに正解できるのであれば、一般的なレベルよりはるかに高い科学リテラシーがあると思ってもらっていいです。
答えは・・・・
上のクイズ、答えは
すべて
です。
上に挙げたものは、どれでも摂取により死亡するか健康を害する可能性があります。
毒か薬かは量で決まる
青酸カリが猛毒であることは有名ですよね?
もちろん、これを摂取すれば少量でも人間は死んでしまいます。
ちなみに、青酸カリの致死量は体重1キロあたり5mgだと言われてるので、体重60キロの人で300mgですね。
300mgということは、カプセル1粒くらいの青酸カリで人間は死んでしまうということになります。
でも、ビタミンCって体に良いものなんじゃ・・・?
と、考えている方が多いと思います。
これは正しいとも言えますし、間違っているとも言えます。
どういうことかというと、
体に良いか悪いかは量次第
ということです。
ビタミンCはヒトには必須の栄養素の一つです。
ビタミンCが不足すると壊血病などの病気になってしまいます。
しかし、大量に摂るとビタミンCも毒になります。
ちなみに、ビタミンCの致死量は体重1キロあたり12000mgだと言われています。
体重60kgの人だと、720000mg=720gですね。
ネイチャーメイドのビタミンCサプリだと1440錠。
レモンだと約36,000個分。
これくらいの量のビタミンCを一気に摂ると人間も死にます。
普通に生きていたらこんなアホみたいな量を摂取する機会がないので、現実的にはビタミンCは安全であるということになります。
食塩も量によっては死にます。
塩分は人間の体に必須なんですが、多すぎると毒になります。
カフェインも様々な健康効果がありますが、一度に大量に摂ると中毒症状が出ます。
毒性学の基本 毒性=質×量
毒性学の基本は
毒性=質×量
です。
ここでいう質とは「毒の強さ」のことです。
普通、「毒性が強い」といった時は、この「質」の部分が大きく、「量」が少なくても毒性が出ることを指します。
(青酸カリみたいなヤツですね)
で、世間一般には、後ろの「量」の部分を考えていない人が結構、多いです。
「毒性がある」というだけで、なんとなく「危険だ!」と判断しがちなんですが、これは「質」の部分にだけ注目してしまっているからです。
どんなに(質的に)強力な毒でも、量が少なければ毒性は出ません。
たとえば、
「あなたは今、ダイオキシンを吸い込んでいる」
というと驚くでしょうか?
これは、冗談ではなくて事実です。
世界中どこでも空気中には1㎥あたり分子数にして数百のダイオキシン類の分子が含まれています。
なので、僕らは普通に呼吸しているだけで、ダイオキシンを吸い込んでるんですね。
しかし、このことは全く問題ありません。
量が少なすぎるからです。
1㎥に数百分子って多いんじゃないですか?
と思うかもしれませんが、 だいたい空気1㎥あたりに存在する分子の数は
30000000000000000000000000個
です。
ゼロが多すぎでよくわからないと思いますが、30杼個です。
杼(じょ)っていうのは聞いたことないと思いますが、1兆の1億倍が1杼です。
まぁ、分子の数というのは途方もなく多いということですね(;´∀`)
それに対して、1㎥の空気中に自然に存在するダイオキシンはわずか数百分子。
この程度の量では毒性なんて出ないです。
(ダイオキシンに関しては本当に毒性が強いかどうかにだいぶ議論の余地があるんですが)
大量に摂れば死ぬという意味で、食塩もビタミンCもポリフェノールも多量に摂取すれば毒性があります。
一方でダイオキシンもごく少量では、体に影響を与えないので、少量のダイオキシンには毒性がない、と言うことができます。
すべて物質は量次第で、毒になることもあるし、毒にならないこともある、ということなんですね。
アスパルテームは毒か?
人工甘味料アスパルテームについて考えてみましょう。
アスパルテームは人工甘味料砂糖の100~200倍の甘さがあります。
ゼロカロリーの清涼飲料などに配合されているヤツですね。
このアスパルテームには毒性があるので何がなんでも避けるべきだと、叫んでいる人をよく見かけますが・・・
砂糖と人工甘味料のアスパルテームの体への影響を調べたハーバード大学の研究がありまして、
・アスパルテームの摂取量が、スプーン1杯増えるごとに悪性リンパ腫の発症率が1.3倍に増える
という結果でした。
なんだやっぱり人工甘味料はヤバイんじゃないか、と思いきや同じ条件で調べてみると
・砂糖の摂取量が、スプーン1杯増えるごとに悪性リンパ腫の発症率が1.7倍に増える
という結果が((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
砂糖の方がアスパルテーム以上に悪性リンパ腫の発症率を高めていたんです。
この結果から少なくとも悪性リンパ腫に関しては、「アスパルテームの毒性は砂糖よりも低い」ということができます。
さらに、よくよく考えてみるとアスパルテームは砂糖の100倍以上甘いのでした。
それだけ甘いということは、使用する量は砂糖の100分の1以下で済むはずです。
上の研究では砂糖もアスパルテームも「1日あたりの摂取量がスプーン1杯増えた場合」を考えていますが、砂糖の100倍も甘いものを、砂糖と同じ量使うなんてことは現実的には考えられないですよね?
つまり、量的に考えてもアスパルテームは砂糖より安全であるということになります。
ということで、データを見てみれば、「アスパルテームは砂糖よりも(質的にも量的にも)毒性が低そうだ」ということがわかります。
確かにアスパルテームを大量に摂れば毒性はあるでしょう。
しかし、それはアスパルテームに限らず、すべての食品に言えることです。
上の研究でも砂糖の摂取量が増えることで、悪性リンパ腫の発症率が上がることを示しているわけですし。
そういう意味では砂糖にも毒性があるわけです。
で、しかもアスパルテームは砂糖の100倍甘いわけですから、現実的に大量に摂取することは考えられません。
こんな風に世間一般に言われていることも、ちょっとデータを調べてみると、かなりデタラメな主張をしていることがよくあります。
特に「○○が危ない!」という噂は大抵の場合、毒性と量の関係を無視して語られているので、
・どの程度の量を摂ると毒になるのか?
・同じ量を摂った時、他の食品と比較して危険なのか?
に気をつけた方がいいです。
で、この2つを調べてみるとほとんどの「○○が危ない!」はただのデマであることがわかると思います(笑)
まとめ
ここから添加物の話を続けていこうか、というところで長くなってきたので、続きはまた次回です(^_^;)
今回のポイントをまとめると
・毒性=質(毒の強さ)×量
・量の部分を見落としがちなので気をつける
ということろですね。