読みやすさを科学する

|

読みやすさを科学する!

科学だなんて、ビックリします。でも結論は簡単な

んです。

文(センテンス)と単語は、短い方が読みやすいと

いうことです。

最近の読みやすさの研究や主張は、実はオーストリア

からアメリカに帰化したルドルフ・フレッシュ博士が

1948年にした研究発表から出ています。広告などの

文章の大きな潮流はここから出ているのです。

日本でも、著名なコピーライターが、小学5年生でも

わかるような文章を書きなさいとよく言います。ある

いはもっと小さな小学生にもと。すべてここから出て

いるのです。

概要を簡単に話します。

この博士の研究成果は大事ですから簡単に話します。

博士は、統計的研究からリーディング・イーズ・

スコアとかキンケイド・グレード・インデックスと

いう読みやすさを計るツールを考え出しました。

特に後者のグレード・インデックスによって、計算

される数値は、文章の平易度を学年として示すもの

で、米国の政府機関などでも広く使われています。

もう少し詳しく説明します。

「現代広告の心理技術101」には2つの例文が出て

います。例文自体はさほど重要でないので、ここでは

割愛します。重要なのは、数値と判定結果ですから。

最初の例文は、総文字数が104単語で、センテンス

は8つ、1センテンス当り13.1の単語、1単語当り

4文字というものです。もちろん英語の文章の話です。

これらからグレード・インデックスでは6.4学年、つ

まり小学生でもわかる文章と評価しています。

もう一つの例文は、76英単語、3センテンス、25単

語、5.3文字ということから、グレードは14.7学年で、

大学生の教科書並に難しい文章という評価です。

つまりフレッシュ博士は、センテンスの数や単語数、

一単語の文字数によって文章は読みやすさを計る統計

的研究をしたのです。この影響は大きく、多少のバリ

エーションは出たもののいまだに使われています。

少々残念ですが、これ英語の話です。

日本語への応用

英文と日本語文は違います。英単語を日本語に翻訳

しても長さは全然違うじゃないかと疑問に思う人が

いるでしょう。

でもその人は間違えてます。センテンスの長さや単

語の長さによる文章の読みやすさの感覚は英語も

日本語も同じ、あるいは似ているのですよ。

だから、研究結果を日本語に翻訳しますと、こうな

ります。

まず前提ですが、アルファベットは半角ですが、日本語

は全角です。つまり、文字数では、日本語は英語の半分

になります。


これを使って先の例文の結果を解釈します。


最初のパラグラフは、1センテンス13.1単語で、1単

語当り4.1文字でしたから、1センテンス当り53.7文

字となります。日本語に直すと、半分の27文字です。

一方のバラグラフは、25.3×5.3で1センテンス当り

134文字ですから、日本語で67文字です。

両者の違いがテキメンに出ました。

私自身、新卒で企業に就職し、レポートを書く部署に

配属されました。そこでの最初の洗礼は、書いた長い

文を、2つとか3つに細切れにすることでした。これ

読みやすさが大きく改善したという経験があります。

読みやすい1センテンス当りの単語数や文字数

他の心理学的研究でも、1センテンスの中の単語数は、

9~13個が良いと言います。これが人間の脳みその

処理能力に最適だというんです。中間の11単語が良い

と言ったりします。もちろん、英文の話です。

日本語の場合、先の小学6年生の例を使うと、

11単語×4文字=44文字。全角の日本語では半分の

22文字になります。

実際、あるトップ・コピーライターは、1行当り20

文字前後が良いと言います。

これをスマホの影響と思う人も多いと思います。スマ

ホだと縦の画面で見ると1行当り24文字程度となり

ます。なので、20文字前後が良いというのだろうと

勘違いするのです。ホントは先に述べた人間の脳に

優しいからという理由なんです。

このトップ・コピーライターは、他にも言ってます。

1パラグラフは1行当り22文字くらいで、1パラグ

ラフは2行~4行というようにばらばらにする方が

読み手の脳に適度な刺激になっていいとも言います。

決まりきった時数や行数だと、逆に脳みそが退屈する

んだとか。やはり、軽い刺激がある方が脳みそには良

さそうということです。

意味とか内容はどうなんだという疑問

新入社員のとき、文章の意味や中身についてもこんな

アドバイスをもらいました。一つのセンテンスには

一つの意味を入れる。2つも3つも入れてはダメとい

うことです。書き慣れていない人は良くやりますよね。

例えば、「…ですが、○○〇というものの、△△△とも

考えられ、結局、×××を勘案しますと、□÷∨^^;

と言う風にも考えられます。」みたいな。こんなセン

テンスが一杯だったら、読み手は全力疾走で離脱しま

すよ。間違いありません。

童話作家の奥儀

文章を読みやすくする方法にこんなのがあります。

ある図書室で子供たちに何度も何度も借りられる童話

があったそうなんです。

何故そんなに子供たちはその童話本を読むのか?

その童話作家がやっていたことに秘密があります。

童話作家は、一度書き終えた童話を子供に読んでもら

うんです。子供に、読んでみて意味の分からない言葉

とかイメージの湧かない言葉とかあれば赤線を引いて

もらうことです。

その赤線の部分を童話作家はさらに分かりやすく表現

し直すという作業を繰り返し行ったのです。その結果、

多くの子供が何度も何度も読むようになったのです。

つまり小学生のような子供が十分理解できるような文

章が多くの人に読まれるということです。

読み易い文章

アメリカでは、難しい文章のことを揶揄するのに

ハーバード・ロースクールの教授が書いた文章みたい

とか、内国歳入法に匹敵する難しさとかいうのがある

らしいです。さしずめ日本では、東大法学部教授が書

いた文章とか、所得税法とか法人税法に匹敵する難し

さというところですかね。

でも、難しい文章を書くコピーライターもまだ結構い

るという話です。これって、お金をドブに捨てている

ようなものですよ。何故かって? そんな文章は誰も

読まないため広告効果も期待できないからです。

なので、明確で簡潔な文章!

これを心がけないといけないということです。

コメント0
お気に入りに追加しました お気に入りから削除しました