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「超近接録音」とは、録音の定石に反して、「異様に近い距離に置いたマイクで録音する事」をあらわした造語です。
最初にこの「超近接録音」を意識したのは、古い「サンレコ」の記事からでした。
その内容は、ある若手のレコーディングエンジニアが、ピアノの音がどうも曲にハマラない時に、「ピアノの銅線」とそれを叩く「フエルトのハンマー」からギリギリ近くにマイクをセッティングしたそうです。
そのあとピアニストに、1、なるべく小さな音量で、2、音に芯を残すような太い音で、といった指示をだしたそうです。そうやって録音した音が、スタジオのモニターから流れた瞬間に、「こんなピアノの音は聞いたことがない」とスタジオ中からドヨメキが起こったそうです。
ピアノを録音するときのマイク位置の定石と言うのは、フエルトのハンマーから最低でも60センチ以上、たいていは1メートル位離してセッティングするというものです。ですから、さっきのセッティングがいかに、当時の常識からはずれていたか、ということです。
この記事に影響をうけて、私もドラムの録音をするときは、シンバルとハイハットのうえ4センチくらいの位置にマイクを置くのが、自分の録音のスタイルとなりました。
一般的な、ドラムの録音では、スネア、バスドラ以外では、タム類にはマイクをたてても、シンバル、ハイハットにマイクを立てるレコーディングエンジニアはほとんどいません。「シンバルにマイクを立てるのなら、60センチ以上離さないと音が割れる」というように、録音の教本には書いてあります。この録音の定石に対する反論は、個人的にヤマほどありますが、ここでは言うのは控えます。
この「超近接録音」ですが、ピアノ、ドラム以外でも、ためせる楽器があります。それは、アコギ関係で、フォークギターやガットギターです。これも録音の教本には、「2,30センチ以上離して」と書いてありますが、サウンドホールのすぐ横のフレット上から3,4センチくらいの位置に、マイクをセッティングして録音すると、この「超近接録音」の世界が体感できると思います。静かな曲や独特の雰囲気が欲しい曲で、ぜひ、試してみてください。