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油には、摂取すべき「良い油」と、避けるべき「悪い油」があります。
それぞれの性質が分かると、糖質制限ダイエットの矛盾点が説明できるようになってきます。
余談ですが、アイキャッチにおっさんのタプタプの腹の画像を使うのは抵抗があったので、冬眠前にたっぷり脂肪をつけてムチムチになったリスにしました。
糖質制限ダイエットの矛盾
糖質の過剰摂取が健康を破壊するという話これまでにした通りなんですが、糖質制限ダイエットについて書いてある本を読んでみると、だいたいこう書いてあります。
脂質も摂り過ぎには気をつけましょう
と。
僕はこれが前々から疑問だったんですよね。
糖質が太る原因なんだから、糖質カットしましょう。
糖質を減らせばカロリーを気にする必要はありません。
でも、脂質はカロリーが高いので摂り過ぎには気をつけましょう。
???(゚∀゚)???
いやいやいや、
カロリーは気にするなと言っておいて、脂質はカロリーが高いから食べ過ぎるな、とは一体どういうことだ、と。
矛盾してるではないか、と。
この矛盾は「油の質」を考えると説明できてしまいます。
糖質制限ダイエットの解説でこういう矛盾が起こってしまうのは、油の質を考えていないからです。
「脂質の摂取量を制限することには健康効果がない」という話をしましたが、更に研究は進んでいて、
「良い油であれば、摂取量は気にする必要はない」
というのがより正しいです。
むしろ、良い油は積極的に摂取すべき
気にする必要はないというか、むしろ積極的に摂ることで痩せます。
「脂質を摂り過ぎると太る」というのは「悪い油を摂り過ぎると太る」というのが正しいです。
良い油と悪い油についてはこちらのコンテンツで詳しく解説しています。
肥満と慢性炎症
というのも、どうも肥満の背後には慢性炎症があるのではないか、ということが最近言われるようになってきたからです。
つまり、炎症を悪化させるような油を大量に摂っていると太るのではないか、ということです。
少なくとも良い油の摂取が肥満を改善するとするデータはあります。
以前、解説したように、短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸はむしろ脂肪燃焼を促進しますからね。
オメガ3に関しても、こんな研究結果があります。
- マサチューセッツ州炎症研究所で行われた研究
- 肥満の子供を対象にした実験
- 毎日3gの魚油を与えたグループと、そうでないグループを比較すると魚油を与えたグル-プには体重の減少が見られた
そう、魚油(オメガ3が豊富)を摂ることで、肥満が改善したという研究結果です。
オメガ3にはインスリン抵抗性を改善するというデータもあって、おそらくインスリン感受性がよくなった結果、肥満の改善につながったのではないかと考えられます。
さて、 糖質を摂り過ぎないことは、ダイエット云々ぬきでも、血管力を維持する上で非常に大事だということは、これまで解説してきたとおりです。
しかし、血管力の観点から見ると太りすぎていることにも問題があります。
というのも、肥満になると慢性炎症が非常に起こりやすくなるからです。
肥満⇒慢性炎症⇒血管力低下⇒
というドミノ倒しが起こって、炎症が起こり肌が荒れる。
脂肪細胞は脂肪を溜めておく器官というだけでなく、様々なホルモンを分泌する臓器としての役割も担っています。
脂肪細胞が分泌するホルモンを挙げると
- レプチン:満腹感を与えるホルモン
- アディポネクチン:インスリン感受性を上昇させるホルモン
- TNF:インスリン感受性を低下させるホルモン
- インターロイキン-6:最強の炎症性ホルモン
などなどです。
ホルモンの名前は覚えなくても大丈夫なのでご安心下さい(笑)
なんとなく、脂肪細胞ってこんな働きをするホルモンを分泌してるんだな、ということがわかればOKです。
で、
この脂肪細胞が正常に働いているうちは大丈夫なんですが・・・
一般に肥満になると、脂肪細胞が中性脂肪を貯めこみ過ぎて肥大化した状態になります。
肥満になると脂肪細胞の数自体も増えるんですが、重要なのがこの脂肪細胞の肥大化です。
何故かと言うと、肥大化した脂肪細胞は正常にホルモンの分泌ができなくなてしまうからです。
肥大化してしまった脂肪細胞はレプチン、アディポネクチンの分泌が低下し、逆にTNFやインターロイキン-6の分泌が活発になります。
つまり、
レプチンの分泌低下⇒満腹感を感じにくくなる
アディポネクチンの分泌低下⇒インスリンが効きにくくなる
TNFの分泌増加⇒インスリンが効きにくくなる
インターロイキン-6の分泌増加⇒炎症の悪化
という複数の問題が同時多発的に起こるわけです。
脂肪細胞から分泌されたインターロイキン-6は血流に乗って全身で炎症を起こすんですが、このインターロイキン-6以外にも肥大化した脂肪細胞は炎症性ホルモンを分泌します。
そのうち幾つかはインスリンの効きを悪くする作用があります。
つまり、
肥満
⇒慢性炎症
⇒インスリン抵抗性
⇒さらに肥満
⇒さらに炎症が悪化
⇒・・・
という恐怖の無限ループが発生してしまうのです・・・
の脂肪細胞は感染症に備えて炎症性ホルモンを分泌していた?
炎症は元々は感染症と戦うために我々のご先祖様が発達させてきたシステムです。
近代に入ってからようやく感染症に対して有効な治療法となる抗生物質が発見され、感染症による死亡は激減しました。
しかし、それ以前は死因の大部分をこの感染症が占めていました。
だから、ご先祖様は生き残るためにとにかく感染症に強くなる必要があったのです。
脂肪細胞が炎症性ホルモンを分泌するようになっているのも、おそらくは感染症と戦うためです。
糖質をたっぷり補給できた時は、余ったエネルギーで炎症性ホルモンを作って、細菌の侵入に備えておくわけですね。
ですが、現代では昔のように頻繁に細菌に感染することもなくなってしまいました。
その結果、脂肪細胞が肥大化した時に炎症性ホルモンを分泌するというシステムは、炎症が正常な体の組織を攻撃してしまうという問題点だけが残ってしまいました。
内蔵脂肪に注意
あともう一点注意として、皮下脂肪と内臓脂肪でホルモン分泌機関としての性質がかなり違います。
どういうことかというと、皮下脂肪は炎症性ホルモンをあまり放出しないのに対し、内臓脂肪は大量に炎症性ホルモンを放出するんですね。(これは内臓周辺では腸から細菌が侵入してるくるケースが多かったからではないかと考えられます)
つまり、内臓肥満とか隠れ肥満とかいわれる状態もかなり危険なんです。
なので、見た目が痩せていたとしても、内臓脂肪がみっしりついていたら・・・
安心はできません。
まとめ
今回のポイントをまとめると
- 良い油を摂れば痩せるし、悪い油を摂れば太る
- 慢性炎症と肥満は密接に関連している
というところですね。
肥満 ⇒慢性炎症 ⇒インスリン抵抗性⇒・・・
という、悪循環が始まってしまうとズルズルと不健康へと引きずり込まれていってしまいます。
健康になり、血管を守るためには、この悪循環をどこかで断ち切る必要があるわけです。
まずは炎症を抑えるために悪い油を控えて、良い油をしっかり摂る。
これが一つ。
そしてもう一つは痩せることです。
健康のためというのはもちろんなんですが、まぁ、見た目的にもデブデブしてるよりもスマートな方がカッコいいのは言うまでもないでしょう(笑)
ではでは。