敗戦と武士道

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「戦略の階層」と呼ばれる7つの階層モデルがあります。①世界観 ②政策 ③大戦略 ④軍事戦略 ⑤作戦 ⑥戦術 ⑦技術の7階層です。上から下に行けばいくほど抽象度が低く具体的・個別的になり、上に行けばいくほど抽象度が高くなります。重要なのは、「抽象度が高い上位の階層が、抽象度が低い下位の階層を規定する」ということです。つまり世界観や政策・戦略が作戦や戦術・技術を規定しているということです。この「戦略の階層」理論を使うと、「なぜ明治時代の日本は成功して、昭和初期の日本は大失敗したのか」ということについても説明がつきます。明治時代の日本の指導者は、すなわち、侍(武士)の最後の生き残りです。彼らの多くは、幼少期から武士としての教育、「武道や和漢の教養」を受けてきました。世界を変えたければ見える抽象度の低い「武器」ではなく、目には見えないが抽象度の高い世界観(ビジョンミッション)が必須です。「武器」があれば、一時的には有利ですが、それで永続して勝てるわけではありません。 第二次世界大戦中、日本は優れた武器(ゼロ戦や戦艦大和)を持ちましたが、米国のビジョン・戦略(戦争の戦い方=レーダーや暗号解読)に負けました。日本の家電メーカー(ソニーやパナソニック)は、多くの優れたハード製品を作りましたが、グーグルやアマゾン・アップルの「ビジョン」や「仕組み」(プラットフォーム)に完璧に負けました。どちらも戦う前に、既に「抽象度」の低さで負けています。抽象度が低ければ(do)、あなたの人生もビジネスも勝ち目はありません。これが砂時計の教えです。(諸行無常)


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