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今回は化学の話で、脂肪酸と脂肪とか、油にまつわるあれこれを解説していきます。
脂肪酸と中性脂肪
まずは脂肪酸と中性脂肪について。
脂肪酸というのはこのニョロニョロしたやつです。
(脂肪酸の分子構造をデフォルメして描いています)
で、脂肪酸がグリセリンによって3つくっつくと、中性脂肪になります。
「酸」だったものが、グリセリンとくっつくことで「中性」になるわけですね。
油といった時は、だいたいこの中性脂肪を指します。
細胞膜はリン脂質
脂肪酸は体内でリン脂質という分子になって、細胞膜の材料として使われます。
中性脂肪は3つの脂肪酸がくっついているんですが、そのうちひとつがリン酸に置き換わったもの。
これがリン脂質です。
(○で囲まれたPがリン酸のつもりで書いてます。)
ちなみに、肥満になると中性脂肪が増えるというイメージがあると思います。
これは正しくて、体内には中性脂肪をためておく細胞もあります。
それが脂肪細胞です。
(普通の細胞は脂肪酸をリン脂質として利用するので、中性脂肪は貯めません)
肥満になると、この脂肪細胞が貯めこむ中性脂肪の量がどんどん増えていきます。
脂肪が燃えるってどういうこと?
細胞はエネルギーが必要な状態になると、貯めておいた中性脂肪から脂肪酸を切り出して使います。
切りだされた脂肪酸はミトコンドリアへと運ばれ、エネルギーに変えられます。
脂肪を燃やす際は、
・中性脂肪の脂肪酸への分解をいかに促進するか?
・燃焼機関であるミトコンドリアをいかにふやすか?
が鍵になります。
脂肪酸の種類とそれぞれの特徴
脂肪酸にはいろいろ種類があって、こんな感じで分類されます。
脂肪酸=飽和脂肪酸+不飽和脂肪酸
飽和脂肪酸=長鎖脂肪酸+中鎖脂肪酸+短鎖脂肪酸
不飽和脂肪酸=一価不飽和脂肪酸+多価不飽和脂肪酸
一価不飽和脂肪酸=オメガ9
多価不飽和脂肪酸=オメガ3+オメガ6
まぁ、研究者が見たら怒り狂いそうなくらいざっくりした分類ですが(笑)
皆さんは学者を目指してるわけではないと思うので、これで栄養学を理解する分には問題ないです。
脂肪酸はどれも最終的にミトコンドリアでエネルギーに変換されるという点は同じなんですが、それぞれにちょっとずつ特徴が違います。
各脂肪酸それぞれの特徴は以下の通りです。
・飽和脂肪酸
飽和脂肪酸は酸化されにくく、加熱調理に向いています。
また、長期間保存しても過酸化脂質が生じにくいです。
・長鎖脂肪酸
ココナッツオイル、動物の脂に多く含まれる。
一旦分解しないと吸収できないために吸収が遅く、エネルギーになるまでに時間が掛かる
細胞内の存在量が多くなるとエネルギー余剰のシグナルになり、代謝が抑制される(=脂肪が燃えなくなる)
・中鎖脂肪酸
ココナッツオイルに多く含まれる
MCTオイルは主にココナッツオイル等からこの中鎖脂肪酸だけを抽出したもの
腸でそのまま吸収されるため長鎖脂肪酸に比べ約5倍吸収が速く、すぐにエネルギーに変わる
細胞内での脂質消費を促進する
・短鎖脂肪酸
バターなど発酵性乳食品に多く含まれる
酢酸(お酢)もこの短鎖脂肪酸に分類される
脂肪細胞に脂肪燃焼を促進させたり、満腹感を与える作用がある
また腸内細菌のなかには食物繊維をもとに短鎖脂肪酸を生産するものがある
・不飽和脂肪酸
不飽和脂肪酸は酸化されやすく、加熱すると過酸化脂質を生じます。
また、酸素に触れているだけでも少しずつ酸化されるので、長期保存にも向いてません。
・一価不飽和脂肪酸
酸化されやすいという点以外の特徴は長鎖脂肪酸とほぼ同じ
・オメガ9(オレイン酸)
オリーブオイルなどに多く含まれる
炎症バランスには関与しないが、糖質の吸収をゆるやかするに働きがある
・多価不飽和脂肪酸
オメガ3やオメガ6などの必須脂肪酸を含む
最も酸化されやすく、加熱調理に向かない
・オメガ3(DHA、EPA、α‐リノレン酸)
青魚やアマニ油、エゴマ油、チアシードなどに多く含まれる
炎症抑制性サイトカインの材料になる
・オメガ6(リノール酸)
植物油(サラダ油)全般に多く含まれる
炎症促進性サイトカインの材料になる
今回は詳しめに解説しているので、今後、適宜見返してみてください。