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医学部の受験勉強は物理•化学の基礎が終わり、一番重要な生命科学の勉強を進めていってます。
ちょうど先日、自律神経の勉強をしたので復習も兼ねてそのお話を。
ストレスを受けると何が起こるのか?
ストレスがひどいと肌が荒れたり、髪が抜けたりするというのは誰しも経験があるのではないかと思います。
今回はストレスと美容の関係と、ストレスを軽くする方法についてお伝えしていきます。
この話をするにあたってまずは自律神経系の事をお勉強してもらいます(僕も勉強しました笑)。
自律神経系というのはその名の通り意思とは無関係に勝手に動いてる神経系で
- 心拍
- 呼吸
- 消化
- 発汗
など生命維持に必須の活動を自分の意思とは無関係に動かしています。
自動化されているお陰で我々は毎秒心臓を動かそうと思わなくても、勝手に心臓は動いて生きていられるわけです。
交感神経系は戦闘のための神経系
交感神経、副交感神経って言葉は聞いた事があると思いますが、簡単に説明するとこんな感じです。
●交感神経系
目の前に敵が現れた時、戦闘に備えるためのシステムで、危機に際してFight or Flight(闘争か逃走か)反応を起こす。
眼の前の敵の攻撃に備えて緊張、興奮状態になった時に心拍数・血圧を上げ骨格筋に血液を送りすぐに動ける態勢を作り、また戦闘時に重要でない消化器官、体表(皮膚)への血流を抑制する。
嫌な事があって寝付けないという事があるかと思いますが、それは交感神経が優位になっている(=体は目の前に敵がいると勘違いしている)ということです。
●副交感神経系
交感神経の真逆の作用をします。
敵が近くにいない時にリラックスして体のメンテナンス(消化や損傷した細胞の修復)を行うためにあるシステム。
回復のためのシステムなので、副交感神経が優位になると眠くなります。
心拍数や血圧が下がり、免疫系や消化器官にエネルギーが供給されるようになる。
現代特有の問題
こういった自律神経のシステムは人類がサバンナで暮らしていた頃に生き残るために発達させてきたシステムなので、現代社会ではちょっと困った事が起こります。
例えば、仕事の上司から叱責されたりすると誰しもストレスを感じて、変な汗を書いたり、口がカラカラになったり、心臓がドキドキすることがあると思いますが、それは交感神経が優位になっているからです。
上司はライオンではないにも関わらず、人間の本能が勝手に危険が迫っていると感じて、体は戦闘態勢に入ってしまいます。
単発のストレスであれば、耐えられるようにヒトの体はできていますが、慢性的にストレスが続く状況は想定していないので、慢性ストレスは健康を害します。
慢性的に戦闘状態ということは常に心臓がフル稼働して血圧が上がっているということなので、心臓も欠陥もボロボロになります。
サバンナの例でいうなら、ずっと自分の周りをライオンがうろついているような状況です。
もし自然界でそんな状況になったら健康を害する前に食われてジ・エンドなので、現実にそんな状況が長く続くことはあり得ないのですが、人間は高度な社会を作り上げてしまったがために、元々はあり得なかった慢性ストレスというものが発生するようになってしまいました。
余談
目の前にライオンがいて「闘争か?逃走か?」と聞かれたら、逃走一択だと思いますが、この判断は一瞬のうちに無意識下で起こるので、気づいたら逃げてるか戦ってるかのどちらかになります。戦う方を選択するのは範馬勇次郎くらいかもしれませんが。目の前にライオンがいる状態で、「戦おうか・・・逃げようか・・・」なんて悠長に考えていたら、その間に食われてしまうので、考えるより先に体が動くように最初からプログラムされています。
ストレスが美容の大敵になる理由
交感神経の働きにも書きましたが、交感神経が優位になると皮膚への血流が減らされてしまいます。つまり体表の組織(皮膚、毛根等々)に十分な栄養や酸素が行き届かなくなります。
また、副交感神経が働いていない状態だと細胞のダメージも回復しません。傷ついた組織があっても、回復ができずにダメージは蓄積していきます。
これらが原因となって肌が荒れたり、毛が抜けたりするわけです。
自律神経系を意思でコントロールする方法
現代は交感神経優位になりがちな時代だというのは分かってもらえたかと思いますが、
本来、意思で制御できない自律神経ですが、コントロールする方法が実はあります。
結構練習したので僕は自分で心拍数と血圧は上げたり下げたりできます。
心拍数を落とす=副交感神経優位にする方法
何をするのかというと呼吸です。
呼吸は基本的には自律神経系がやってくれてるんですが、自分の意思でもできます。
つまり、自分の意思で自律神経系にアクセスする手段になるわけです。
- 吸っている間は交感神経が優位になり
- 吐いている間は副交感神経が優位になります
コレを利用して
吐く時間を吸う時間よりも長くすると副交感神経が優位になり、心拍数・血圧ともに下がります。
血圧を測定する時はこの呼吸をやりながら、図るといつもよりも低くなるので、効果はとても分かりやすいです。
僕の場合、
15秒吐いて、7秒吸う
を繰り返えすと血圧・心拍共に下がります。
できるだけ長く吐いた方が良いですが、最初は難しいと思うので
7秒吐いて、3秒吸う
でも大丈夫です。
練習するうちにだんだん長く吐けるようになってきます。
瞑想
僕は以前からストレスケアとして瞑想を勧めていましたが、呼吸に意識を集中させること自体が瞑想になるので、この呼吸法をやるだけでも瞑想と同じ効果が得られます。
瞑想はストレス軽減に効果があることが臨床レベルで明らかになっている方法なので、ぜひ取り入れてみてください。
心拍数を上げる=交感神経を優位にする方法
これは簡単で
「バイオハザードをプレイすれば簡単に実現できます」
というのは冗談で
体を動かせば勝手に交感神経が優位になって心拍数が上がります。
交感神経を優位にするメリットって何かあるの?と思われた方も多いでしょうがその話を始めると長くなるので、また別の機会に解説します。
余談
息を吸っている間は筋肉も緊張しているので力が入り易く、強ばります。
吐いている間は力が入りにくく、筋肉は弛緩しています。だからストレッチの時は「息を吐きながら伸ばせ」といわれるわけです。
武術では呼吸を読むのが重要だといわれますが、それは吸ってるか吐いてるかで相手がどう動くかが変わってくるからです。
ちなみに息を止めていると体は動かせません(脳が体を動かせる状態ではないと判断してしまうので)。
P.S.
興奮させる方向に働く神経伝達物質は無数にあるんですが、落ち着かせる方に働くのはGABAとグリシンしかありません(入試で頻出らしいので覚えとかないといけないやつです)。
両方ともサプリなどによく配合されている成分なので、聞いたことのある方も多いかもしれません。
元々、ヒトが体内で生産できる生体分子なので、本来は外部から積極的に摂る必要はないのですが
これだけ需要があるということは現代が人類有史以来、最大の慢性ストレス時代だからかもしれません。